「レディースデー」は男性差別か

背景

映画館やレストラン、ショップなどで、「レディースデー」なる日を設けるものがある。

内容は、特定の曜日や日付において、女性だけ割引があったりおまけがつくといったものだ。たとえば某Tシネマズでは、毎週水曜日に女性だけチケットが約4割引きだ。

メンズデーを設けるショップ等も存在するそうだが、その数はレディースデーより圧倒的に少ない。

 

民間企業の施策として

言うまでもなく、このような「レディースデー」を公的機関が設けたら大問題だろう。

パスポート発行手数料が水曜は女性だけ20%オフとか。

 

また、民間企業であっても公益性の高い事業の場合は許されないことだと思う。毎月3のつく日は女性だけ地下鉄半額とか、女性のいる家庭は特定日に電気代が安くなるとか。

 

でも、映画館は、飲食店は、どうだろうか?

公的サービスや社会インフラとは違い、不可欠なものではなく、そのうえ代替サービスを提供する店はたくさんあるため、「気に入らなければその店を利用しなければよい」の一言に尽きる。

もし「レディースデーなんて差別的なシステムを作るなんてけしからん!もうTシネマズで映画は見ない!」と考える人が多ければ、客が減り利益が減るわけで、レディースデーが企業の利益追求にはむしろ弊害になるはずだ。レディースデーが存続し続けているということは、客離れの原因になっておらず、利益を生んでいるということ。

一方、「公平にメンズデーも作ろう」としたとしても、それで客が増えないのであれば、単価が減る分、損失だ。

 

差別を「正当な理由なく」一方を他より不当に扱うこと、とすると、レディースデーを設けてメンズデーを設けないことには明確な理由がありそうだ。そしてその理由は、利益を追求する企業として、この上ない「正当な」理由といえるだろう。

 

Win-Winな関係

一般的には、レディースデーは客の少ない曜日や時間に設定されている。時間に融通のききやすい層(専業主婦など)を狙っていることは疑いようがないだろう。女性は「お得感」を重視する傾向にあるので、定価なら行かないけど安いなら行こうかなという判断を下しがちだ。もちろん人によるけれども。

また、女性はグループで行動することが多く、「来週水曜日に映画見てお茶しない?映画館も安いし、あそこのカフェでデザートサービスだって!」と専業主婦の友人に声をかけられれば、仕事を休んで出かける人も多いだろう。

店にとっても客が増えて嬉しいし、客にとっても安くサービスが受けられて嬉しい。Win-Winだ。

 

一方、男性の場合はどうか。仮にメンズデーが平日に設けられていたら、仕事を休んででも行くだろうか?

時間に融通のきく専業主夫フリーランスの場合は「メンズデーがあればその日に行きたい」と思うだろうが、現代社会では圧倒的に会社勤めの人が多く、「割引受けるために仕事を休むくらいなら、仕事が休みの日に通常料金で構わない」と考えがちなように思う。

結局、店にとっても割引したわりに客が増えず、客にとっても「自分には関係ない」と感じる人が多いので双方にメリットがないのだろう。

 

あれ?

つまり、男性の方が女性より時間に融通が利きにくいからメンズデーが普及しない、ということなのだろうか?

だとすると、真の問題はレディースデーが男性差別か否か?ではなく、「(集団としての)男性が女性よりも時間の融通がききにくいのは男性差別か?」なのかもしれない。

 

結論

「レディースデー」は、男性差別ではない、と認定。

 

皇位継承が男系男子に限られるのは女性差別か

背景

現在の日本では、皇位継承権は男系男子にしか認められていない。

 

数年前(悠仁様が生まれる前)には、「皇太子さまの下の世代にもう男子いないよ!どうする?」ということで、女性天皇を認めるべきかという議論も巻き起こったように記憶しているが、悠仁様ご生誕により「これでしばらく安泰」との雰囲気になって立ち消えとなった。

 

2016年3月には、国連の女子差別撤廃委員会がこの皇室典範を女子差別だとして、改正を求める勧告を行おうとしたらしいが、日本が「これは差別でなく伝統」と強く主張し、勧告に盛り込まないよう抗議したことで立ち消えになったそうだ。

【国連女子差別撤廃委】男系継承を「女性差別」と批判し、最終見解案に皇室典範改正を勧告 日本の抗議で削除したが…(1/2ページ) - 産経ニュース

 

差別とは何か

「男女で異なる扱い」を受けており、「男性に認められていることが女性は認められない」という事実だけを見ると、確かに差別のようにも思える。

 

そこで、

差別:特定の属性が、正当な理由なく、他よりも不当な扱いを受けること

と定義してみる。

 

これは裏返せば、「特定の属性が、正当な理由なく、他よりも優遇されること」と解釈できる。

 

男性は優遇されているのか

さて、皇位継承権は男子のみ。では、皇位継承権を与えられる男性は女性よりも優遇されているのか?

 

私は「否」だと思う。

なぜなら、「男系男子は皇位継承を義務化されており逃れられない」というのは、優遇ではなくむしろ負担だと思うからだ。

 

仮に「男子は皇位を継承するか否か選べる。女子は問答無用で権利なし」であれば女性差別だろう。一方に与えられた選択権が他方にはないのだから。

でも現状では、「男女とも選択権なし」ということなので、これは差別ではなさそうだ。

 

変な例えだが、「男子は丸坊主、女子はおかっぱ」という校則に対して、おそらく男子も女子も自分の性別が差別されていると思ったりしないであろう。それと同じ感じ。

 

天皇という存在の特別性

皇位継承権がないという意味では、天皇家に生まれた女子も、一般家庭に生まれたすべての男女も同じだ。

なので、「天皇家の女子に権利がないなんて差別!」と主張するのであるなら、「天皇家に生まれなかったら皇位継承権がないなんて差別!」とも主張すべきように思える。

 

でも、だれもそんなことは言わない。

 

つまり、国全体が、「天皇は特殊な存在だから、その継承について差別とか権利とか主張するような対象ではない」と認識しているわけだ。

 

結論

皇位継承が男系男子に限られるのは、「女性差別ではない」と認定。

甲子園で女子の練習参加禁止は女性差別か

事件の概要

8月2日に、甲子園出場校の女子マネージャーがグラウンドで練習補助を行い、大会関係者から制止されたことがニュースになっている。大会の規則で、練習に参加できるのは男子のみと決められているためらしい。

 

各メディアのニュース記事、有識者コメント、一般人のブログやツイッターなどを見ても、「これは性差別だ」という意見が圧倒的なようだ。

 

規定で女性参加を禁止する理由

当初は、高野連が「安全面の配慮」と説明したとの記事を目にした。

その後は、単に甲子園出場選手の条件が男子生徒のみとなっているので、練習もそれに準じているだけとの説明も目にした。

 

その規定に「正当な理由」があるか

どちらの理由が本当なのかはわからないが、安全面の配慮(女性はか弱いのだから危険はなるべく排除してあげるべき、という意図)であるならば「女子にやさしい」優遇規定と考えられるかもしれない。「えぇ~、ボールこわ~い」という女子にとっては、怖い練習に参加しなくてすむので嬉しい規定だろう。

でも、そんな女子はたとえ「女子も可」だったとしても絶対参加しないと思うので、参加するか否かに個人の意思が反映されやすい場面で「か弱い女子を守るため」という名目を持ち出すのは意味不明。なので、安全面の配慮による規定とは思えない。

安全配慮の意図ならば、「日ごろから練習に参加しており、監督等が適当と認める技能を有する者」かつ「ヘルメット着用」あたりを基準にすべきで、性別は関係ない。

 

一方、「多少のけがは覚悟の上だし、そもそもボールに対処できる程度の経験は持っている」という女子にとっては、性別だけを理由に参加できないのは性差別以外の何物でもなく、「女子を禁止する正当な理由がないのに練習に参加できず、不当な扱いを受けた」と表現することに迷いはない。

 

規定を見直すならば

出場選手規定に準じて、意図せず練習からも女子を排除することになってしまったのならば、今回の騒動を機に規定を見直してはどうか。その際は、「出場選手の規定自体を見直す」か、「練習参加者の規定を新設する」か考える必要がありそうだ。

 

まあ、出場選手の枠を女子に広げるとは考えにくいので、練習参加者の規定を「日常的に練習に参加している者」あたりにして性別による区別をなくすのが現実的だろう。

もしこのような規定に変えて、その後に女子生徒の練習参加が激増したら、今までの規定は何と罪深いものだったかということになる。

 

個人的には、出場選手枠を女子にも広げてほしい。女子だって甲子園を目指してもいいんじゃないか、という思いもある。

(どうせ女子まで枠を広げたところで、勝ちに行きたい学校は「野球の能力(投げる、打つ、走る、等)」のみでベンチ入り選手を選ぶのだから、筋力の面で男子に劣ることの多い女子の出場はそう増えないだろうけれども。)

 

・・・といいつつも、スポーツで男女を分けるのは「試合を公平に行う」という正当な理由があると思うので、真剣に言っているわけではありません。

 

結論

甲子園で女子の練習参加禁止は「女性差別」と認定。